19話 ページ19
ーあなたsideー
営業の方と話していると、
「すみません。」
と知らない人に声をかけられた。
もしかしたら美容系の人かなと思って、
「はい。」
と言うと。、
「少しお話があるのでこちらに来ていただけませんでしょうか。」
と有無を言わさないような口調で言われて、
気が付くと。
「はい。」
と言ってしまっていた。
ー−−−−
ここって。
「あの、用事というのは、」
「この部屋入ってください。私は外で待っていますので。」
「は、はい。」
3回扉をノックすると、
「はい。どうぞ。」
と凛とした声がかすかに聞こえた。
「失礼します。」
扉を開けて中に入ると、、
さっきのイベントのスーツ姿のまま椅子に座っている結弦さんの姿が。
「ごめん。せこいよね。でも、こうでもしないとつかまらないからさ。」
困らせてしまっていたんだ。
「ごめんなさい。、話って？」
そう私が聞くと、、
少し言いづらそうに。
「あのさ、報道の件なんだけど。」
と話始めた。
「あれ、デマなんだ。、ただよろけたところを支えただけで。」
そうだったんだ。
「そっか。お似合いだったし、私てっきり。」
「誰にでもああいうことするわけじゃないから。もちろんAちゃんにも軽い気持ちであんなことしたわけじゃない。」
「私には関係ない話だよ。、結弦さん、まめだね。」
これ以上仲良くなったら、今度離れるときにつらくなる。
早く話を切って帰ろう。
「関係ある。、」
「え。」
「だって、俺は。、とにかく。これからも仲良くしてほしい。お願い。」
だめ。絶対に。
そう自分に喝を入れても、弱い私は、結弦さんの言葉一つで心を動かされてしまう。
「ね？」
「、うん。」
だめだ。
誘惑が強すぎた。、、
「ね、この後空いてる？明日土曜日だからお休みだよね？」
「うん。空いてるよ。」
友達として、友達としてなら。
いいよね。
友達なら関係が壊れることはないよね。
離れなきゃいけなくなることもないよね。
この時の私は、そう自分に言い聞かせていた。
「このホテルの上の階に夜景がきれいなBARがあるんだって。ノンアルコールカクテルが美味しくて有名みたいだし、良かったら一緒に行かない？せっかくお互いドレスアップしてるんだし。」
「うん。行きたい。」
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作者名：かれん | 作成日時：2022年7月17日 15時
