18話 ページ18
「この間、KASEさんのパックを使わせていただいたんですが、使い終わった後に赤ちゃんのようなもちもち肌になって。、素晴らしいなと思いました。、今回の商品も楽しみにしています。」
赤ちゃんのようなもちもち肌。
嬉しい。
「ありがとうございます。では、乾杯の音頭をお願いできますでしょうか。」
「はい。それでは、新商品の発売おめでとうございます。乾杯。」
忘れよう。
ここ1か月ぐらいのことは全部。
それで、仕事に生きよう。
もう壇上から降りていいみたい。
今日はもう帰ろう。
なんか疲れちゃった。
「Aちゃん、あとでラインするから来てもらっていい？」
「ごめんなさい。今日はもう帰ろうかと。」
「そんなのもったいないよ。こんなに可愛い服着てるのに。」
そう言ってくれるのは嬉しいけど。そんな優しい言葉でさっきの忘れようという私の決意がぐらぐら揺らいでしまう。
「だめだよ。私、行くね。ほら、メディアの人こっちみてるよ。話しこんでたら怪しまれちゃう。」
そう言って、背を向けて帰ろうとしたら、
遥が駆け寄ってきて。
「A、帰れると思わないでよ。私たちがせっかく見繕ったんだから、最後までいてもらうからね。」
と言いながら、私にワイングラスを渡した。
これ、長くなるやつだ。
ー−−−−−−
ー羽生sideー
「羽生さん、羽生さんはここまでで大丈夫だそうです。」
「わかりました。」
えっと、、Aちゃんは。
、
あ、いた。
さわやかで背の高い男と話してる。
まあ俺の方が高いけど。
「羽生さん？どうかしました？」
「あの、さっき研究者挨拶で挨拶してた女性の方覚えてますか？」
俺はあそこに行って連れてくるわけにはいかないし。マネージャーさんに連れてきてもらおう。
「あの人に用事があるので、楽屋に来るように言ってきてもらっていいですか？」
「あの人ですか？」
怪訝な顔してる。
まあそうだよな。普通、用事あるわけないし。
「ナンパとかじゃないですよね？どうしちゃったんですか？」
「違います。ちょっとした知り合いで。」
「、わかりました。今回だけですよ。先に戻っていてください。」
そう言うと、Aちゃんのもとへ向かってくれた。
ありがたい。やっとちゃんと話せる。
そう思うと、楽屋へ帰る足取りは自然と軽くなった。
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作者名：かれん | 作成日時：2022年7月17日 15時
