14話 ページ14
ーあなたsideー
それから数日。
私の研究はひと段落して、少しずつ自分の時間も取れるようになったし、ストレスも少なくなってきた。
でも、わからないことがある。
あの時のハグの意味。
あのハグの後、結弦さんは元気になったみたいだし帰るよと言って帰ってしまった。
私としても嫌ではなかったし、抱きしめ返してしまったけど、、
あれがどういう意味なのかわからない。
「花咲さん。」
わ、びっくりした。またチーフいつの間にか私の背後に
「な、なんでしょう。」
「この研究すごく素晴らしいけどどうやって閃いたの？」
褒めてくれるのは嬉しいけど、結弦さんの肌を観察しましただなんて言えない。
「肌が綺麗な人の肌を徹底的に観察してみたんです。」
「あら、そう。なるほどね。この商品化が実現したら、あの有名な羽生さんにCMキャラクターをやってもらうみたいよ。元々違う化粧水のもお願いしてたみたいだし、今回もね。」
結弦さんが。
すごい。嬉しい。
そう思って私が喜んでいるとチーフは
「、それで、聞きたかったんだけど、なんであなた会社に羽生さん連れ込んでるのよ。」
と爆弾を落とした。
、、、え？
「な、なんで。」
「あなたがどういう実験をしたのか知りたくて数日前のカメラの映像見てたのよ。そうしたら検査室に羽生結弦連れ込んで肌見てたわよね。そのあとハグしてたじゃない。、もうドキドキしちゃって。」
「あ、それはそういうんじゃないんです。」
これは大変まずい。
映像消す権限はわたしにはないし。
「まあ公になったらまずそうだから、私の管理者権限で映像は消したんだけどね。」
よかった、、。
「ありがとうございます。」
「で、気になるのは、これ。」
そう言って見せてきたのはネットのニュース記事。
え。
そこには結弦さんと美人な女性のスケーターさんの熱愛報道が。
「遊ばれてるんだとしたら、認めたくないだろうけど今すぐ縁を切りなさい。わかった？」
遊ばれてるも何も。
これは、
「私たちがハグしてたのは、あの上手く行った時の挨拶というか。、ほらよくコンクールとかで優勝すると周りの仲良い人たちが抱きしめてあげたりするじゃないですか。そういうテンションで。」
私たちはそういう関係じゃない。
私は結弦さんのこと好きじゃない。
今はそう言い聞かせないとなんだか悲しくて。
胸がズキズキ痛むのは気のせいだと思うことにしていた。
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作者名：かれん | 作成日時：2022年7月17日 15時
