13話 ページ13
ーあなたsideー
すごい。美味しそうなフルーツゼリーだ。
「ありがとう。すごく美味しそう。」
「よかった。、これなら食べられるでしょ？少しでもいいからちゃんと食べなきゃダメだよ。」
なんで食べられなかったのを知ってるんだろう。
「どうして、知ってるの？」
「わかるよ。、精神的に参ってるときにご飯食べられなくなることあるよね。」
こんなに強そうな人でも、そうなることあるんだ。
なんかそう考えると、少しだけ救われるような気がする。
「ありがとう。なんか心が軽くなった気がする。」
「本当？よかった。」
仕事、ちゃんと向き合ってもう少し頑張ってみよう。
あ、そうだ。
「もし。もしよかったらなんだけど。、、肌観察させてくれない？」
そう私が言うと、一瞬戸惑うような表情になったけど、すぐに
「いいよ。」
と快諾してくれた。
ー羽生sideー
ゼリーを食べ終わったAちゃんに案内されたのは研究室の隣にある検査室のような部屋。
俺の頬の近くにカメラのようなものを近づけて、パソコンで熱心に画像を観察している。
「す、すごい。、きめが細かい。」
なんだか少しだけ声が元気になっているような気がする。よかった。
「肌年齢診断とかやったことある？」
「ん？ないと思うけど。」
多分、？
「これすごいよ。10歳以上若いと思う。、あ、そっか。」
何かひらめいたような顔。
「結弦さん、ありがとう。私、わかっちゃったかも。」
そう言うと、急に俺に抱き着いてきた。
「これで研究進められるはず。本当にありがとう。」
無意識？
野球とかサッカーとかで勝ったときにチームメイトどうしでハグをするあの感覚？
しばらくすると、我に返って、
「ごめんなさい。、私。」
と言って慌てはじめた。
でも、嫌がってはいない。
これは脈があるのか？
「俺は嫌じゃなかったし、いいよ。気にしないで。」
俺がそう言うと、少し驚いたような顔をしている。
ここは攻め時かもしれない。
そう思った俺は続けて、
「むしろ、Aちゃんとこうしてると落ち着く。」
と言って、もう一度抱きしめた。
逃げる様子も嫌がる様子もない。
それどころか抱きしめ返してきた。
「私も落ち着くかも。ハグするとセロトニンが分泌されるっていうもんね。」
これは脈あり？それともAちゃんが天然なだけ？
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作者名：かれん | 作成日時：2022年7月17日 15時
