11話 ページ11
なんかすごく弱っている心に沁みる。
あ、間違って通話ボタン押しちゃった。
どうしよう。
ー羽生sideー
「ゆづ見て。肌きれいって言われてる。」
そういうと、のぶくんがTwitterのリプライの画面を見せてきた。
たしかに、どこのパックですかとか、肌キレイとか、たくさんコメントが。
Aちゃん喜んでくれるかな。
「ゆづ携帯鳴ってない?」
そうのぶくんにいわれて確認するとたしかに電話が。
え、Aちゃんから?
「も、もしもし。」
『あ、、ごめん。間違えてかけちゃって。』
間違えた?なんだか疲れているような声の気がする。
『ごめんね。』
「大丈夫。ね、なんかあった?」
黙り込んでいる。
電話の向こうからかすかにすすり泣くような音が聞こえる。
『ごめん。ちょっと今話せる状況じゃないかも。、また連絡するね。』
なにかあったなら力になりたい。
「待って。話聞かせて。」
少し、黙り込んだ後、Aちゃんが消え入りそうな声でぽつりぽつりと話し始めた。
『悲しいことがあったわけじゃないの。、今実験うまくいってなくて、。』
どこまでいったら終わりとか進行状況が読めない仕事だろうし、大変だな。
『結弦さんからのライン見て、嬉しくて。それで電話の声の優しさが身に染みて。、ちょっとホッとして。泣いちゃった。、ごめんね。めんどうくさいよね。』
「ね、今日会える?」
練習が終わった後、少しなら時間とれるかもしれない。
こんな弱ってるような感じのAちゃん、なんだか放っておけない。
『会いたいけど。仕事が。』
「5分ぐらい抜けられる?差し入れするよ。」
『で、でも。』
確かそこまで都心から離れているような場所じゃなかったし、会いに行けるはず。
すぐに断ってこない感じだから、もしかしたら会いたいと思ってくれているのかもしれない。
「ちょっとだけ。ね?」
『、、うん。ありがとう。』
「じゃあ、またあとで。」
なに買っていこう。
スイーツ?甘いもの。
あ、でも。肌にいいものが好きなんだっけ。
お、待てよ。目の前に適任者がいる。
「好きなんだね。すごく優しい顔と声で話してた。」
「うん。あのさ、肌に優しくて、女の子が好きそうな美味しいスイーツ知ってたら教えて。」
「差し入れするって言ってたもんね。よし、任せて。」
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作者名:かれん | 作成日時:2022年7月17日 15時