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じぃーっと。私の目を見つめてくるなるせくんとにらめっこ。いつまで続くのかな、この時間。一生このままでもいいけどね。
「なるせくん」
「……いつ返事くれる?」
「私は、なるせくんのこといちば、」
「お取り込み中悪いのですが」
めいちゃんが申し訳なさそうな顔をしながら胸に抱えていたホッチキスの付いたプリントの束をなるせくんに差し出す。
「英語教えてください!補修は嫌なんですゲームしてたいんです!」
「……」
「お願いしますなるせ様、!」
「わかったわかった」
「や、やったあ!まふくんいいってー!」
「僕は?」
「ごめん叶くんのこと忘れてた」
なんか。なんかさ。
さっき素直になれるチャンスだったんじゃ。
あれ。
チャンス失った?私。
というか、私何言おうとしてたの!
恥ずかしい恥ずかしい。なるせくんこと、いちば、……なに!
「……」
自分の髪を右手でいじいじしながら顔に熱が集中していくのを感じる。唇をぎゅぅっと噛んで血が滲む。もう片方の手で制服のスカートを掴み、力を込める。
涙目になるのが分かった。
「ひっ」
「え?」
「見ろ、Aの顔」
「ひぃっ……完全に恋してる顔じゃんか」
「乙女だなあ」
キィッと睨むと、慌ててそっぽを向くめいちゃんたち。
ああ、これが。
私、なるせくんのこと好きなの?
そんなわけないや。
なるせくんだって冗談で私にアタックしてるだけだろうしね。
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作者名:あやの | 作成日時:2021年3月27日 11時