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「A、誰と喋ってんの？」
「望、」
店から出て来た望は、私に気がついたのか駆け寄って来た。望は男2人を上から下まで舐めるように見る。
「道案内、俺がしましょか？」
「何だよ、男連れてんのかよ」
望に圧倒されたのか、2人はそれ以上何も言わず、去って行った。
「何絡まれてんねん」
「道聞かれただけやで」
「どう見てもナンパやん」
「暇やったんちゃう？」
私の危機感の無さに、望はため息をつく。
「もおー、俺がおらんかったらどうしてたん？」
「望は来てくれるやろなって思ってた」
「は？」
「ちっちゃい時から困ってたらすぐ望来てくれてたし、なんとなく。あ、クレープどっちがいい？」
イチゴとバナナのクレープを並べると、望の顔を見る。
そこには、私を見たまま静止する望がいた。何で固まっているんだろう、と不思議になる。
「望？」
「あ、えっと、イチゴ」
「できたてやし熱いで」
クレープを渡すと、望は無言でかぶりついた。一口がでかいなと思いながら、私も自分のクレープを食べる。
「おいしいー」
「……俺の気も知らんと」
「え、何？」
「もしかしてわざとなん？」
「今これ、何の話？」
望は深いため息を吐くと、疲れるわーと漏らした。
本当に疲れていたのか、帰りの車は乗り込んだ途端、爆睡を決める望。私もウトウトしながらボーッと外の景色を眺めていた。
「たくさん買い物できて楽しかった〜」
「沙希ちゃんが楽しんでくれてよかったわ」
「流星くん運転しんどくない？」
「全然余裕！疲れたやろ？寝てもいいで」
前の席の会話が聞こえてきて、私は慌てて目をつぶり、寝たふりをした。
沙希が私の知らない間に、藤井さんにタメ口で話してるし、ちゃっかり名前で呼んでいるもんだから、起きてるのも気まずい。
そんな私は寝たふりのつもりが、いつの間にか寝てしまっていた。
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作成日時：2019年2月25日 12時
