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「あいつ忘れん坊やねんな…道迷わんかな」
望はチラッと沙希を見る。沙希は望の視線に「ん？」と顔で答えた。
「ちょっと流星について行ってもらえないですか？」
「え、私？」
「また合流できひんかったら困るし…」
「えっと、わかりました」
沙希は言われるがまま、藤井さんの後を追いかけた。
私は沙希の背中を見つめる。
「何で望がついて行かへんの？」
「流星のためやん」
「ん？意味わからん」
「沙希ちゃん狙ってるらしいで」
それを聞いて驚いたのは言うまでもなかった。
「なんや、最初から両想いやん」
「車もそういう意味であの並びやってん」
「え、そうやったん？」
私と望は、目当ての雑貨屋に入った。
望と、展示されているソファに座って見たり、クッションの弾力を試すように触って見たり。
望といるとついつい商品で遊んでしまう。
「このサボテンかわいい」
小さいサボテンが並んでるのを眺めた。自分の部屋に置くなら、トイレか玄関かな、なんて想像してみる。
「この前、望がうちの会社来た時に喋ってた子覚えてる？」
「え、誰やっけ？」
「愛美ちゃんて子」
沙希に言われた事を考えてはみたけど、やっぱり私は望に話す事を決め、緊張しながらもその話を切り出す。
「んーどんな子？」
「この前喋ってた人やん！名古屋出身でひつまぶしがどうとかって話ししてたやん」
「よぉ聞いてんな〜」
ニヤッと笑う望。盗み聞きしてた事がバレてしまった。覚えてるやん、と苛立ちながら心の中でツッコむ。
「その子が望と連絡取りたいって言ってたで」
半ばイライラしながら投げやりに言う。
サボテンを触る望は一瞬考えるように固まると、こちらを見た。
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作成日時：2019年2月25日 12時
