29 ページ29
.
「あと連絡先教えて欲しいって言われた」
「えー？！どうすんのよ！」
おっとりしてるとはいえ、私の直の後輩の頼み。断る勇気もなければ、教える余裕もなかった。
「まあでも、私だけで決められないから、望に聞いてからにしようかなって」
「はぁー？そんなの聞かなくても、ダメだったって言えばいいでしょ」
「いやでも、私にそれをする理由ないでしょ」
ただの幼馴染なんだし、と付け足す。
可愛いなと思った服を体に当てて、鏡を見た。服が似合うかどうかよりも、自分の顔の覇気のなさが気になる。
「愛美ちゃんと小瀧さんが仲良くなってもいいの？」
「…どうだろ」
「愛美ちゃんと小瀧さんが付き合ってもいいの？」
「……」
「仕事中に『小瀧さんって何が好きですか？今度誕生日プレゼント買おうと思ってて〜買いにくの、一緒に来てください』て相談してくるよ？」
「……嫌かも」
自分の気持ちを整理するのはなかなか難しい。
愛美ちゃんと望が恋人。そんな風に想像するのも少し嫌だった。
「小瀧さんに彼女ができて欲しくないのはヤキモチじゃないの？」
もう私の頭の中はキャパオーバーしていた。
沙希の言う事が、的を得ているからなのかもしれない。
思考を停止して今は服を買うことを楽しもうと、切り替えるものの、脳の片隅には沙希の言葉が引っかかっていた。
ー12:00
半分ほど買い物を済ませた頃、約束の時間になり待ち合わせ場所に行く。すでにそこには2人が待っていた。
「(絵になるなぁ…)」
と感心していると、周囲にいた女性たちが、2人にチラチラと視線を向けていることに気がついた。
「みんなあの2人のこと見てるね」
同じように感じた沙希が言う。
「なんか行きにくいね」
「何で？ここは堂々と行って、周りに見せつけるところでしょ」
沙希はそう言うと私から離れ、「お待たせ」と2人のところにかけて行く。その表情が、あまりにも誇らしそうにしていたから、思わず笑ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2019年2月25日 12時
