25 ページ25
.
目が覚めた時、初めに目に入ったのは白い天井だった。周囲の白いカーテンに、保健室であることに気がつく。
「(何で寝てたんやっけ…)」
ゆっくり体を起こす。
「Aさん！起きた！」
大きな声に驚きながら、その声の方を見ると、本田くんがそこにいた。
「よかったー！起きひんかったらどうしよかと思っててん」
この人今までどこで何してたんだろう。
「あ、体育祭！」
「大丈夫、もう終わったから」
「…そっか」
最後までやりきれなかった事を少し後悔する。
最初はイヤイヤだったけど、やるからには最後までやり遂げたかった。
「Aさん、ごめん。俺のせいやんな」
本田くんは手を合わせて私に謝った。
そう言われても、もう体育祭は終わってしまっている。
「もういいで」
「小瀧くんにめっちゃ怒られたわ」
「え？何で、」
「小瀧くんがAさんに気がついて運んでくれたらしいで。ほんでその後、サボってた俺捕まえて、胸ぐら掴んできてさー」
運んだって…？グラウンドの隅の木陰に私が倒れているなんて、誰も気づくはずがない。
「何で倒れてるって分かったんやろ…」
「あー、何か大体のこと何でもわかるって言ってたで」
指先がじわっと熱くなるのを感じた。
何それ。彼女いるくせに。
「Aさんの顔みたら無理してるんすぐ分かって、絶対倒れるって思ってたんやって。水分補給も全然してへんかったらしいな。俺めっちゃ怒られて…ほんまにごめんな」
本田くんは何度も私に謝っていたけど、そんなことよりも、望のことで頭がいっぱいになっていく。
「せっかく忘れられそうな気してたのに」
ボソッと漏れた私の声は、本田くんには聞こえてなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2019年2月25日 12時
