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「ふーん」
できるだけ興味なさそうに返事をする。
望と距離を置き出してもう1年くらい経つだろうか。最初の頃は地獄のようにつまらない毎日だった。
ひとりぼっちの登下校。からっぽの心。楽しいことも悲しいことも、共有する相手がいない毎日に、1年かけてようやく慣れそうになってきていた。
「小瀧、また彼女できたって」
「へぇ」
「1ヶ月ほど付き合った子と、こないだ別れたとこやのに…」
私が嘘をついたあの時、望は怒った顔をしていた。
それからすぐに望に彼女ができ、しばらくして別れて、またすぐに彼女ができ。
あれ以来まともな会話は一回もしてない。
「ま、好きな人ができるっていい事やしな」
「A、ほんまにそう思って言ってんの？」
「何でなん」
「小瀧に恋人できてから、Aずっと屍やん」
卵焼きを突く菜々の箸が止まり、私を見据えた。
「全然楽しそうちゃう」
菜々は私を見透かしてくる。私は誤魔化すように笑うしかできない。
本当のことが、本当の気持ちが、そのまま言葉にできたらどんなに楽になれるんだろう。
「では、当日の役割を決めていきます」
実行委員会では、ねらい、練習の持ち方、当日の流れなど、体育祭に向けての話し合いが進められていた。
「本田くんとAさんは、生徒の待機場所のサポートをお願いします」
実行委員長の指示で、各クラスの役割を決め、入念な打ち合わせをする。
私と本田くんは、生徒の誘導や整列を任されることに。
望のクラスはどうやら点数係になった様子。気にしないふりをしてちゃんと聞いてる自分にバカバカしくなる。
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作成日時：2019年2月25日 12時
