*** ページ35
•*¨*•.¸¸☆*・゚
お互い様、と言いたげに笑う夏油くんこそ不器用だ。
今の今までそれを知っていても言わなかった彼こそ、性格が悪い。
そして何故このタイミングで五条くんの本音を明かしたのか。まぁそれを聞いたからって五条くんのやり方が腹立つことには腹立つし、お飾り彼女が欲しいっていうのも奴の本音なことにきっと間違いはない。五条くん的に丁度いいやって程度だったんだろう。だとしたらとんだクソッタレだけどな!
「だから、何か不便があれば言ってくれ。いつでも力になる」
荒みきった思考を頭の中で吐き散らしていると、夏油くんは立ち上がって強く笑った。
その強い笑顔を見上げながら私も微笑み返す。
「とぉーっても心強い味方ってわけだ」
「そういうこと」
拳を突き出してきた夏油くんの拳に、自分の拳をぶつけて笑い合う。最強の味方が出来ちゃったな、こりゃ。
なんだか特別な関係が築けたみたいで、夏油くんが前を向いた後もニヤニヤしていると彼は何かを呟いた。
「本当は、私でも良かったんだけど」
「ん?」
「いや、なんでもない。じゃあまた」
聞き返してもなんでもないとはぐらかした夏油くんは、遠くからポテポテ気だるそうに歩いてくる五条くんとすれ違って。
すれ違い様に五条くんの脇腹を小突きながら去っていった。(無駄に小突かれた五条くんは怒り心頭だった)
70人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:優 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年3月11日 18時