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さらりと告げられた言葉に目を見張った。まさか彼が私のお飾り事情を知っているとは。
お飾り効力を最大限に発揮する為なのかなんなのか。「俺には彼女がいる!」と大々的に公表して生きる、歩くスピーカーと化す五条くんと私の本当の関係を知っている人なんて数ヶ月経った今でも、まずいなかった。(家入さんは除く)
まぁ五条くんが話したのかな、なんて軽く考えて返事をする。
「知ってたんだ」
「勿論。お陰で変な虫が寄り付いてこないから悟が上機嫌で助かってるよ。無駄に食ってかかってこないし」
「……寂しいの?」
「まさか」
笑えない冗談だと笑う夏油くんの矛盾さに一緒になって笑う。
そうかと思えば、遠くを見つめながら何かを思い馳せるように柔らかく口を切り始めた。
「悟はさ、ずっと君を気にかけてたんだよね」
「え?」
「気にかけてた、ってのは語弊があるか。ことある事に悪態ついてさ。ああ、悪口って訳じゃないんだけど。あいつやる気ねぇのかだの、何考えてんのか分かんねぇだの」
「あまりにしつこすぎてまさか好きなのかって聞いたら戦争になった」と苦笑を浮かべる夏油くんの心中をお察しする。
ただ、そんな話初めて聞いた……というか、五条くんに気にかけられるほど目立った記憶もないしな。
自分の行動を思い返していると、夏油くんは上の空になり始めた私を見てふっと笑った。
「まぁ単純にもどかしかったんだろうね。自分が嫌悪する上層部に好き勝手言われても黙ってる君がさ」
「……その結果が
「不器用な男だから」
「便利な言葉だなあ」
「かもね。ただ、黙ってそれを見てるお前も彼女と同じじゃないかって唆したら、これまた戦争。結果、二人で夜蛾先生に三時間正座させられたのは君のせいだと思っているよ私は」
「えぇ……うぅん……? なんかごめん……?」
「でも、こうなったのはあいつを唆した私のせいだ。すまないね」
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作者名:優 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年3月11日 18時