(7):って感じです! ページ32
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「……って感じです」
「やめろよその雑な終わらせ方!」
黙って聞いていた虎杖くんが不満たらたらに体を揺らした。
お望みの回想を語っている間はワクワクと胸を高鳴らせながら聞いていたのに、一気に熱が冷めてしまったようだ。見るからにガッカリしている。
「まぁそれから毎日みっちり絞られたからだけだからね。何も楽しいことは無かったよ。任務も毎回そんな感じ」
「何回かマジで三途の川渡りかけた」と言えば、それが聞きたいとワクワクされたが、流石にもう痛々しい話はしたくない。指ぶち折れた話を口にするのが精一杯である。虎杖くんに呪霊が怖いなんて変な意識も植え付けたくないしね。ウンウン。
毎回私の怪我の後始末つけていたしょこちゃんに何回同情されたことか。途中からしょこちゃんに慰めてもらえる喫煙所が憩いの場だったよもう。
「でも、先生は学生時代から先生だったんだな」
「Aさんが先生の最初の生徒って感じ?」
「いや、生徒っていうより玩具に近い扱いだった気もするけど」
いつの間にか戻ってきた野薔薇が話に加わる。ドサッと私の背中側に腰掛けた伏黒くんが、最高に苛立っているのをヒシヒシと感じる。恐ろしやぁ……。
「っていうか、そんなことばっかやって十年過ごしてきたんですか? もっとあまーい話はないわけ? 反吐が出るような」
「ないよ。あったとしても反吐が出んなら言わないよ」
この子は本当に……遠慮という言葉を未だ知らぬらしい。お前、いくつだよ。
言わないと言っているのに、野薔薇はツッコミ役の伏黒くんが機嫌悪く口を閉ざしているのをいいことに好き勝手騒ぎ始める。
「あるでしょ一個くらい。デートしたとか、【自主規制】したとか」
「……もうそれは悟に聞いて」
「え、あるの? やっぱりあるの??」
「だー! やめろ釘崎! そんなん聞きたかねぇ! 二人ん時に勝手にやってくれ!」
「野薔薇と二人になっても言いたくないよ」
「えー、じゃあAさんにちゃんとした好きな人はいなかったの?」
そう言われて、口を噤み、視線を少し落とした。
何も言わないまま、一人回想に戻っていく。
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作者名:優 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年3月11日 18時