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こんな奴今相手にしてたら頭がどうにかなっちまうよ。救いを求め、家入さんに視線を移す。
「家入さんが治してくれたの?」
「ん?」
「指とか」
「あぁ。動くか?」
「うん。問題なさそう」
「なら良かった」
ありがとう、と素直に御礼を告げれば彼女の目が優しく細められる。本当にキレーな顔してますこと。
見蕩れていた視界の中にずいっと入ってきた顔も綺麗なことに違いはないが、何故か自然と顔が顰まる。今はお前を相手にしているほど元気なんてないのだよ。
「俺には?」
「え?」
「俺には礼も無いわけ?」
……一体何に対しての礼ですか?
等級もない私を戦場に放り込んだことですか? ヘラヘラと嘲笑いながら必死こく私を眺めていたことですか? わざわざ嘘ついて試すような真似をしてくれたことですか??
否、流石にそんなことは言えまい。やり方が少し歪んではいたものの、彼のお陰で術師として認めて貰えたのは事実。至極不服なところではあるが、ここは素直に御礼を述べることとした。
「……あっす」
「誠意が足りない」
「あざっす」
「お前本当に俺のことナメてんだろ」
「いだだだだだ」
私の頭を掴んだ手に力が込められ、ギリギリと有り得ない音がする。お前は呪術より怪我人の介抱の仕方をまず教わるべきだ。こんな介抱聞いたことねーよ!
言いたくもないが誠心誠意「ありがとうございます五条様」と告げると、「苦しゅうない」と返ってきた。振る舞い全てが本当に気障ったらしい男である。
「まぁ冗談はさておき」
冗談の力の入れ方じゃなかったけどな!
「お前の呪術の性質がよく分かったところで、漸く本題に入ります」
「……本題とは」
「喜べ雑兵よ、俺様直々に稽古をつけてやろう」
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作者名:優 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年3月11日 18時