(5):接吻するなら金をくれ! ページ21
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「っつ〜!」
「逃げるしか脳が無いのか貴様」
「うるさいなあ! そう言うなら攻撃の手休めてくれよ!」
術式で折れた指の痛覚を無くしたはいいが、正直逃げ惑うにも限界が訪れている。
そもそもなんでこんな逃げ惑ってるかって、五条くんが助けてくれないのもそうだし、私の呪術は内から祓う『煙』だ。打撃や斬撃といった直接攻撃ないし体術戦は到せない。
本来であれば私のようなタイプは体術も向上させておくべきなのだが、これも一人でどうにかしようとしなかった甘えサボりのツケである。
そして、煙を吐きつつ逃げ惑っているお陰でそろそろ体力の底がつきそうな私に、呪霊は飽き飽きした様子で物申した。
かと思えば、どうやら標的を私から外したらしい。暇そうに欠伸をかましていた五条くんへ呪霊が歩みを進め始めた。
「ん、俺のほう来ちゃう?」
「あの人間はやる気がないようだからな」
「まあそう言わずにさ、付き合ってやんなよ」
「お前を殺した後でな」
「分かんねぇ野郎だな……お前みたいな奴をなんて言うか知ってる?」
ヘラついていた五条くんが言う。――死に急ぎ野郎だよ。
ひゅっと息を吸った。空気の流れが変わる。乾いた口の中に溜まりきった唾が上手く嚥下できない。
呪霊とてその圧に押されたか、ビリついた空気を察したか、ピタリと動きを止めていた。
「分かったらさぁ、もうちょっとそいつと遊んでやってよ。そのほうがお前も生き長らえるよ」
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作者名:優 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年3月11日 18時