(3):ってことだよ! ページ11
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「……ってことだよ」
「え?」
ポカン。その言葉がよくお似合いな程、莫迦のように開く口は一向に閉じられる気配は無い。
私の前にあぐらをかいて口を開ける男の子の目下には輪郭に沿うように傷が入っている。聞くところによれば、あの両面宿儺の指を食ったとかなんとか。マジか、正気じゃねぇだろ。
そんなイカレポンチ君、虎杖悠仁は目をぱちくりしながら再び問いかけてきた。
「いや、え? それだけ?」
「うん。他に何かある?」
「何かあるって……俺は五条先生との馴れ初め聞いたつもりだったんだけど……」
「だから、馴れ初めだよ。それで十年一緒にいますって話」
「聞いたことねぇよ十年の馴れ初めが五分で回想終わるなんて……」
そう。今話していたのは五条悟との馴れ初め。
先程までツラツラと語っていたのは虎杖くんの仰る通り回想。すなわち思い出である。
奴との出会いなんて思い出したら、なんだか吐き気をもよおしてきた。すなわちオ゙ッエーである。
「って言われてもねぇ。あの節操のないクズとはろくな思い出ないから振り返りたくもないってのが本音なんだけど」
「散々な言われようだな……」
今独り言のように言葉を漏らしたのは、虎杖くんの横を陣取り話を一緒になって聞いていた伏黒くんだ。
どこか遠い目をしながら呟いた彼と反し、虎杖くんは目に生気を取り戻し前のめりになった。
「え! それ聞きてぇ! 教えてよ!」
「いや話聞いてたか虎杖くん。振り返りたくないって言ったよ私は」
「まぁあの人がロクデナシなことなんて聞かずとも見て分かるからな」
「お前もなかなか最低だぞ伏黒」
「何してんのアンタ達」
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作者名:優 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年3月11日 18時