第七章【もしも運命の人がいるのなら】side:You ページ8
☪*｡꙳
チカッと瞼を刺激した明るさで覚醒した意識の中、どことなく甘い香りがした。
どこかで嗅いだことある匂いだな。
華やかな薔薇のような甘い香りに、かと言って甘すぎない柑橘系の紅茶みたいな。
覚醒したはずなのに、未だ鉛のように重い瞼は開かなくて。
どこで嗅いだ匂いだっけなとぼやける頭で考えながら寝返りを打とうとすれば、どうやら体もまだ動かないらしい。
ん、違うな。動かそうとしても何かに捕まってて動かないだけか。
ん？ 何か？ 捕まってる？
なんだ、何事だ。
なんとか目を開け、目の前に見えたのは見慣れた氷帝ジャージ。
ん？ と見上げるように頭を上に向ければ、目を瞑ったまたもや見慣れた端正な顔。――あぁ、跡部か。
跡部に抱き締められてるから動けないのか。そういうことか。どうりで暖かいと思った。
あ、そうだ、跡部の匂いだ。これ。そうそう。思い出した。
まぁ跡部が寝てるならまだ時間も平気なんだろうな。なら、もう少し寝るか、私も。
……え？
待って？ 待て待て。待てよ。私今何を普通にスルーしようとした？ 跡部に抱き締められてるって言った？
え？ 誰が言った？ 私が言った？ ってことは私が抱き締められてんの？
いやいや、そんな訳あるまい。
寝ぼけすぎて見間違っただけだって。流石にありえんよ、そんなこと。
ハッと鼻で笑いながら目を開ければ、先程となんら変わらない光景にもう一度目を閉じた。
……いやいやいやいや！ いたよ！ 見間違いなんかじゃないよ！ 今、目の前に跡部いたよ！
えっ、待ってまじで待って本当に。
どういうこと？ え？ 何が起きた？ なんで私跡部と寝てんの……？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月19日 0時
