月光の前奏曲 -第4番- (ページ47)

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９…side:You ページ47

☪*｡꙳

　含みのある言い方をした跡部は、ひょいひょい、と私の方に片手を動かして何か掴むような動作を見せた。

あぁ、ボール寄越せってことかと彼の方へボールを打ち送ってやれば、跡部はそのボールを地につき始める。

　え？待て待て。なんでサーブ権お前になった？？

サーブですらまともに打てないってのに、よくお前の殺人サーブをこの私にレシーブさせようと思ったな。

　そんなことを考えている間にも放たれたサーブは明らかに手を抜かれていて。

多分、いつもの十分の一ってとこか。くそ、どこまでも馬鹿にしやがる男だ。

　ただ私とて伊達にテニス部部長を気取っていた訳では無い。

確かに、お飾り部長だったかもしれないが、そこまで舐めたサーブを返せぬほど実力がない訳でもない。

　腹がたちすぎてやり返すように彼の足元の死角を抜いてやれば、私のリターンエースに大衆がザワついた。

いやまぁ片目瞑ってる方の死角抜いただけだから凄くもなんともないんだけども。

「なるほど。もう少しいってもいいってことね」

「……くっそ！！」

　宣言通り多分四割くらい手抜きのサーブを放ってきた彼に、別に普通のサーブなら全力で打ってこいやくらいの感覚でリターンを返す。彼はまだ返せるかと笑いながら返球をしてきた。

強打を打ち込み前に出ると、多分スマッシュ練習と言わんばかりにわざとあげてくれたであろう中ロブに更にイラッときた。ったくよお！

お望み通りのスマッシュではなく、わざとドロップでネット際に落としてやれば、鼻で笑いながらコートに落ちたボールを拾いに来た跡部は私を一瞥してエンドラインについた。