８…side:You ページ46
☪*｡꙳
しかし今もう何を言っても仕方ない。
適当にやってりゃ飽きて帰宅コースになるでしょうとそこそこのサーブを適当に打ってやれば、彼によって綺麗に返されたボールはわたしの後ろにコロコロと転がっていった。
おお。傍から見てても綺麗な打球だと思ってたけど、相手コートから見ると尚更すごいななんて感動していると、跡部が至極不機嫌そうに口を開いた。
「お前、本気出してねぇだろ」
「え？ いやいや、ガチだって。本気本気。だから言ったじゃん私。無理だよって」
「……そうか。ならハンデやるよ」
そう言うと跡部は笑いながら片目を瞑る。
ウインクよろしいそれにドキッとした私は、こないだの合宿から何かがおかしい訳で。
こないだまで嫌いだなんだと言っていたくせにドキってなんだよと思いつつ、ハンデと称されたウインクに若干イラッときた自分に安堵を覚えた。
あぁ、良かった。これこれ、これだよ私が跡部に抱くべき感情は。
ていうか、舐めすぎじゃない？
確かに適当に打ったといえど、そんな片目でプレイされるほど馬鹿にされることはまずない。
私の負けず嫌い精神が触発され、さっきより若干本気になったサーブを打ち込めば、先程同様容易に返されたレシーブを彼を左右に振るように打ち返す。
それでもまだ片目を開けようとしない彼にサイドを抜かれ、更に何かふつふつと湧き上がるのを感じた。
「なんだ、そんなもんか」
「はぁ！？ あのねぇ！ そもそも男子と女子ってだけでも雲泥の差があるってのに、アンタ相手にまともな打ち合いなんか出来るわけないでしょうよ！！」
「……お前は、もっと出来ると思ったんだがな。俺の見込み違いだったか」
「は？ 私の打ってるとこなんかほとんど見たことないくせに、何見てそう言ってんのアンタ？」
「越前と試合した時。お前、俺達が打ち合ってたボール弾いたろ」
「……あぁ！ あれね。ただマグレだよあんなの」
「マグレ、ねぇ……」
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月19日 0時
