１６…side:You ページ35
☪*｡꙳
「じゃあやっぱ、この勝負俺の勝ちっすね」
「……は？ どういうこと？ なんでそうなった急に？」
「だって、嘘ついたでしょ、今」
「なんでそう思うのよ？ その根拠のない自信はどっからくんの？」
「根拠しかねぇっすよ。俺は昨日アンタの部屋なんか行ってねぇよ。俺が見たのは、跡部さんがA先輩抱き抱えて、自分の部屋入っていくところだけ」
やられた。
まさか、こいつにまで嘘をつかれるとは思いもよらなかった。何度私は騙されれば気が済むんだ一体。
どこまで馬鹿なんだお前は。本当にお前の頭の悪さにはほとほと嫌気がさす。
こんな時にも頭を蹂躙するのは跡部が私を誹る言葉で。
言われた時でこそ毎度人を馬鹿馬鹿いいやがってこのくそ部長と思っていたのに、今となっては私に馬鹿さを教えようとしてくれていた彼の優しさにすら感じる。
ごめん跡部。きっと跡部は気づいてたんだろう。
私がまたろくでもないことに巻き込まれてると知って、わざわざ相手をしないようにしてくれていたのは薄々勘づいていた。そんなの彼の表情を見れば分かった。
なのに、それなのに。馬鹿な私のせいで、立海のデータが吹き飛んでいったよ。
ん？ いや待てよ。違うな。
そもそも彼が私を部屋に連れ込んだりしなかったら私の勝ちは決まっていたわけで。
それに水を差したのはあいつだ。
そうだよ、私は悪くない！ 悪いのは全部あいつだ！！
あぶねー！ また騙されるところだった！
いや騙すも何も別に彼から何をされた訳でも無いんだけど。それでももう騙されたとしか思えない。
揃いも揃って男ってやつは！ 何が楽しいのかね私なんかを振り回して！ 私はお前らのおもちゃじゃないっての！！！
�牴兇呂�前のこと玩具だなんて思ってねぇよ。
好きな人。お前は、俺の大事な人��
……えぇい！！ 今お前はお呼びでないんだよ！！ 引っ込め！！ 出てくるんじゃない！！
頼む。これ以上私を掻き乱さないでくれ。
止まった思考が更に回らなくなってきてしまったあたりで、このままやられっぱなしっていうのも性にあわんと最後の悪あがきを試みた。
「……あーそうだよ。行ったよ。確かに行ったけどあの時私は嫌いな蛇見ちゃったせいで気を失ってたの。だから跡部は気を遣って私といてくれただけ。だからこれと言って疚しい気持ちはないの」
「ダウト｣
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月19日 0時
