月光の前奏曲 -第4番- (ページ23)

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４…side:You ページ23

☪*｡꙳

　蛇なんかに喩えたのが余程堪えたのか、目を見開いて私を見た跡部は舌打ちをしながら視線を逸らした。でも、本当のことなのだから仕方ない。

なんなら向こうでこちらを睨み続けている亜久津さんも、さっきっから蛇に見えて仕方ないからいい加減やめて頂きたい。

　まぁそれは置いておくとしても、とりあえず誤解がなんとか解けた様子の跡部はめちゃくちゃ気まずそうに視線を斜め下に落としていて。

跡部がここまで気まずそうなのは珍しいことこの上ないが、そんなになるほど亜久津さんに何を言ってしまったのだろうかこの男は。

まぁ跡部のことだから無駄に怒り散らしたんだろうな。聞いた訳では無いが、彼の表情からなんとなくそれを察した。

　ていうか、私の悲鳴を聞いて、自慢の顔に傷付けてまで焦って飛んできた彼は一体何を考えているのやら。

私ごときの為に何をそんなに熱くなることがあるのだろうかと、鼻で嘲笑ってからハッとした。

　待てよ。あまりにもデータ収集に夢中になりすぎて忘れてたけど、そういえば、今朝話していた本当の話は一体どれだったんだろうか。

仮に、あれが好きな人なのだとしたら。まずい、辻褄があってしまうではないか。

　え、嘘。嘘だ。あの女選び放題な跡部が私の事好きだなんて、有り得ない。

　でも、ならどうして、彼は私を抱き締めて寝ていたのだろうか。

たまたま？抱き締め癖とかそういうこと？だとしたらまじで引くの一言に尽きるんだけど。

　いやでも、跡部なら有り得る。

伊達に百戦錬磨気取ってない跡部ならありえない話ではない。むしろその可能性のが高い。

　なら、何故百戦錬磨の彼は私に手を出さなかったのか。

私に魅力が無かったのか？お前なんか抱きたくもねぇよってこと？まぁそれは抱かれたい訳では無いから別にいいんだけど。

　え？ならなんで一緒に寝た？

そもそも寝たっていうか私が起きるのを待ってた結果力尽きたのか？それならまぁ、腑に落ちるっちゃ落ちるか。

　でもだったら起こせばよかっただけの話で。

むしろ起こさない意味もわからなければ、跡部の性格的に最悪蹴り飛ばしてでも起こすはずだ。それもしなかった彼はやっぱり、故意的に私を寝かしたまま一緒に寝やがったってことか。