脳漿炸裂ボーイ【跡部 景吾】

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なるほど、そういうことか。






ここまで気づかなかった馬鹿な私が言う事でも無いかもしれんが

どこまで馬鹿なんだこの男は。






回りくどいのは性に合わんとさっきも言っただろうに。心の中だけど。






この上なく回りくどく言ってきた跡部先輩に

またも心の中で見当違いな怒りをぶつけていれば。






「“I pay no attention whatever to

anybody’s praise or blame.

I simply follow my own feelings.”」






「……え？」






「モーツァルトの格言だ。これくらいは覚えておけ」






謎の英語を羅列した跡部先輩が席を立った瞬間、

暗幕が開いて真っ暗だった空間が明るさを取り戻した。






休憩のアナウンスに気を取られている間にも

跡部先輩が姿を消したことにホッとしていると、

どこからかふっと軽い笑い声が聞こえた。






「“人に何を言われようと、自分の感じたまま行うだけだ”」






「え？」






「……まぁ単純に、何言われても自分は

Aの傍にいたいんだよってことなんじゃない」






「へ……」






大混乱したまま棒立ちしていた私に、

いつの間にか爆笑の渦から帰還していた

左隣の男子生徒がボソッと呟いて。






大変だね、本当。






そう笑いながら、かけていた眼鏡を押し上げた男子生徒は

僕の席は守っといてねと言い残し休憩を謳歌しに去った。






……なにそれ。アホかよ。






そんなことより、右隣の男子生徒は本当にどこ行ったんだろう。






右が空いている以上無意味だというのに

律儀にも左の席を守りながら、

右の席を焦点の合わない目で見つめて

殊更にそんなことを思った。






本日の脳漿炸裂ワード
「人に何を言われようと、
自分の感じたまま行うだけだ byモーツァルト」

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