脳漿炸裂ボーイ【跡部 景吾】

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……。






「……何してるんですか、跡部先輩」






回りくどいのは性に合わない。






小声ながらもいきなり本題をぶち込んでやると、

少しも動揺しない跡部先輩は余裕に笑った。






「何って、居眠りこいてたから起こしてやっただけだ」






「なるほど。

そんなこともしなきゃならないんですね、生徒会長って。

であれば、もう次の生徒のところへどうぞ。

私は寝るまで起きてるんで」






「いや、寝るまで起きてるって既に寝る気満々じゃねーの。

それに、次の生徒ってなんだよ」






「だって、私の他にも夢の世界に誘われてる方

たくさんいらっしゃるみたいですし。

早く行かないと鑑賞会終わっちゃいますよ。

パニーニとエーミールくっついちゃいますよ」






「パニーニとエーミールってお前……。パミーナとタミーノだ。

台詞を一言一句覚えろとは言わないが

せめてキャストの名前くらい覚えろ」






それじゃイタリアの料理と

ヘルマン・ヘッセの小説に出てくる主人公じゃねーの、と

ドン引いたように言った右隣に座っている跡部先輩の言葉に

左隣に座る男子生徒が吹き出しているのが見えた。






どうやら、小声でも私達の会話が聞こえてしまっていたらしい。






無駄に被害を被った男子生徒は、

オペラを真面目に観ていた二割の生徒だったであろうに

ツボにハマってプルプルと震えながら俯いてしまった。

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