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✩.*˚
つまらねぇ。
勝負事は、勝つか負けるかが
分からないからこそ面白いのであって。
勝ちが見えてしまった勝負程つまらないものは無い。
興醒めだ。今すぐ出ていけ。必要以上に俺と関わるな。
そう口を開こうとした刹那、先に口を開いたのは彼女で。
「ずるいんですよ、景吾様は」
「ずるい? 何がだよ」
「私は、物心ついてから今まで
血の滲む思いで必死に生きてきました。
毎日が戦場でした。銃声、血の匂い、肌が斬られる感触。
知りたくもないことばかりが記憶に植え付けられていく日々。
いつ死ぬかも分からない、誰の為に死ぬかも分からない。
物となんら変わらない生活。寝ても醒めても地獄でした」
唐突に語り出した自分の身の上話。
歳すら教えようとしなかった、彼女の半生。
俺が思うよりずっと壮絶だった。
そんなの、聞きたくねぇよ。俺には関係ねぇ。
そう言いたいのにどうにも言葉が出てこない。
何故か、続きを待ってしまった。
「でも、景吾様は、みんなに愛される。みんなに守られる。
貴方の溢れ出る自信に人は魅了されていく。
誰もが羨むほどのスペックを持つ
貴方を人は愛さずにはいられない。
それなのに、貴方は完璧を求めて人一倍の努力を重ねる。
自分の知りたいことを好きなだけ
追求していける環境も器も持っている。
私と同じ人間なのに。
生きてきた時間もほとんど変わらないはずなのに。
これをずるいと思ってしまうのは、
そのずるさに惹かれてしまうのは、
私の甘えで弱さだと思いますか」
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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2020年11月22日 11時