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✩.*˚
朝練を終えて、いつも通り授業を受ける。
5分間休憩に寄ってくる雌猫の中でも
やけに目立って見える彼女は嫌にならず俺に擦り寄ってくる。
そんなに好きかよ、俺が。
雌猫モードの彼女が否定を出来ないのを知って
わざとふっかけてやると、
わざと恥じらいながら言われる言葉。
「もちろん。大好きですよ、跡部様」
偽りの愛の言葉。聞きなれた愛の告白。
それでも俺の口角を上げさせるには十分すぎた。
「なら、キスでもしてやろうか」
「……え?」
ざわつく教室。
俺の言葉に唖然とする他の雌猫。
その瞳を見据えて偽りの愛の言葉を
本気の挑発の言葉で返してやれば彼女は瞳孔を揺らした。
「な、にを急に……」
「俺様の事が大好きなんだろ?
それなら、キスでもしてやろうかって聞いてんだよ」
「そ、それは……!」
「アーン? なんだ、もしかして嘘なのか?
この俺様がわざわざ誘ってやってるってのに、
断るってのか、テメェは」
「……流石に、こんな、たくさんの人の前では、できないです」
「そうか。なら、お前はどうだ? キスするか、俺と」
彼女の隣に立つ女に声をかけてやる。
突然振られた話に顔を赤く染める女は、
彼女と違って偽りなんかでは無いのに何も感じない。
煽られる加虐心も無ければ、微塵の羞恥心も湧かない。
静かに頷いた女に、
座ったまま目を閉じて顔を突き出してやった。
あくまでもお前からしろと言わんばかりに。
更にざわつきの大きくなる教室の中で、
唇に柔らかいものが触れた。
さて、俺様のキスを断った雌猫はどんな顔をしてるのかと
熱が離れたのを感じ、伏せていた瞼を上げる。
目の前に広がる光景が思った通りのものではなくて。
必要以上に目を開いてしまった。
「他の女になんて、渡しませんよ。
大好きな、跡部様の唇ですから」
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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2020年11月22日 11時