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✩.*˚
何事かと思いつつ反射で抱きとめてしまえば、
ぶつかってきたのはうちの女子生徒。
ゆっくりと顔を上げたそいつは昨日俺の苛立ちに拍車を掛けた
3Hの噂の転校生で。
俺の顔を見るや否や、
ハッとしながら大きく目を見開き顔を赤く染めた。
「ご、ご、ごめんなさい……っ!!
ま、まままさか跡部様だとは思わず!!」
「……まぁ、それはいいが……どうした。
何をそんなに急ぐことがある」
「あっ、いえ、その! 急いでるというか、ボールが、」
「……ボール?」
彼女が気まずそうに指を指した先では、
グラウンドから走ってくる野球部に向かって
忍足がボールを投げている姿が見えた。
あぁ、ノーコンの奴が投げたボールがこっちまで飛んできてたのか。
顔を背けていたせいで全然気づかなかった。
なるほど。
それで体当たりかましてきたのかこの女。
助かった、と礼の一言を放つと同時にふと思った。
ボールが飛んでくるのが見えてから
よく俺に体当たりかます時間あったな。
ノーコンの下手くそ野球部と言えど、球速はそこそこあったろうに。
一体いつどこから見ていたのかと問おうとしたその時、
戻ってきた忍足が彼女を見ておっ、と声を漏らした。
「なんや自分、随分と積極的やね。
もっと大人しいタイプかと思っとったわ」
「へ……? あっ!? ごごごめんなさい!! 失礼致しました!!」
未だ俺に引っ付いたままだったことに
気づいていなかったらしい彼女は
更に顔に熱を集めて軽く突き飛ばすように大きく後ずさった。
少し抱きとめただけで初心な反応を見せる彼女に無自覚にも
笑みを零した俺を見て忍足がニヤッと笑う。
「可愛ええやっちゃ。なぁ、跡部」
「……そうだな」
「え」
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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2020年11月22日 11時