陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ44)

今日:10 hit、昨日:7 hit、合計:12,444 hit

１９…side:Keigo.A ページ44

そんなやり取りに笑った2人とAを置いて
病室を出れば偶然にも忍足が
こっちに向かって歩いてくる姿が見えた。

「あら、お帰りですか王様」

「……お前までなんなんだよ」

「お前までってどゆことやねん。
今に始まったことやないやろ別に」

「……それより、王子見なかったか忍足」

「え、なんで？」

「ちょっと拗らせた」

「はぁ、やっぱりか。
だから言うたんに……程々にしいやって」

　もう堪忍して、と頭を抱える忍足は
ほら見た事かと言わんばかりにため息をついた。

完全に俺がやらかしたと勘違いしている
こいつの頭を叩いてやれば
ズレた眼鏡を直しながら俺に睨みを効かせてきた。

「なにすんねん。
秀才な俺の頭がバカになったらどうしてくれるん。
そしたら責任とってな、自分！」

「元々バカだからいいだろ別に。
つーか拗らせたのは俺じゃねぇよ。
Aが余計なこと言ったせいだっての」

「え、嘘。そういうこと？なに修羅場？」

「違ぇよ。あのバカが王子をガキ扱いしたせいで
どっか行っちまったんだよ」

「……なるほど。
まぁ、王子はAのこと好きみたいやからなぁ。
傷ついちゃったんやろな。可愛ええやっちゃでほんま」

「可愛いやっちゃじゃねぇよ。
あいつの気持ち知ってたならストッパーかけろよお前。
なんか俺が悪いことしたみてぇな空気になったじゃねーの」

「いやいや。そんな青少年の淡い恋心
壊せるほど俺心無い男ちゃうし。
心閉ざせるってだけで心はあるからな俺にも」

「だとしてもそれは優しさじゃねぇだろ。
叶わねぇ恋だって教えてやる方が親切ってもんだ」

「……絶対叶わんはずの恋叶えた男がよう言うわ」

「……うるせぇな」