陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ5)

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５…side:Keigo.A ページ5

「行かねぇの？」

『行かないよ！！
跡部だって知ってるでしょ私がこういうの無理なのは！！』

「なら、もう帰るぞ」

『え』

「帰るか、行くか。2つにひとつだ」

『えぇ！？なんでよ！？意味わかんないんですけど！！』

　どんな理不尽な選択肢だよ！

そうキレ始めた彼女を鼻で嘲笑ってやれば
チッ、と舌打ちをした彼女は漸く俺の思惑が分かったらしい。

そうそう。もう帰りてぇんだって俺は。

『……じゃあ、帰ってあげてもいいけど。
今日はシないよ』

「は？何故だ」

『……やっぱそれか』

「いいだろ別に。
こちとら久々の休みなんだから満足するまでヤラせろよ」

『え？いやいや。
もしかしてと思うけど一昨日私の事
あんだけ抱き倒しておいて満足してないの？
あれで満足いかないんだったら
アンタのゴールどこなの？？やばくない？？』

「……それは俺の体に聞いてくれ」

　自分でも分からんと言えば
心底軽蔑するような目を向けられた。

まぁ自分でもそう思う節は確かにある。

確かにあるが、その目は仮にも彼氏ないし
婚約者へ向けるものでは無い。

　すると彼女は遠い目をし始めた俺の腕を
またぐいっと引き始めた。

今度は力づくで無いそれに
とうとう諦めたかと自分の勝利を確信した刹那
彼女が向かっているのは帰路ではなく
明らかに俺が冗談半分で言ったお化け屋敷で。

「おい、お前どこに行くつもりだ」

『どこ行くつもりって、
アンタが行きたいって言ったんでしょうよ』

「……そっちか」

『そっちかじゃないよ。
アンタのさっきの言葉聞いて
私の選択肢は無いに等しかったよもう』