陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ37)

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１２…side:Keigo.A ページ37

『トメちゃん達、連れてきてって言ってたでしょ？
だから連れてきたの！』

「あら、そうなの！」

「やだ～今日お化粧してないのに～」

「連れてきたって、どこに」

『ここに！今もういるじゃん……ってあれ？』

　漸く後ろに俺がいないことに気づいたのか
彼女の足音がパタパタと俺の方に近づいてくる。

チラッと病室から顔を出したAは
俺の姿を見るや否やニコッと笑った。

『なにしてんの、こっちきて』

「……はいはい」

　別に勝手に話してこいよ、と言おうとも思ったが、
それは王子がいなければの話で。

あそこまで自分の可愛い彼女をバカにされた挙句
なんなら少し親しげに話していた彼に対して
彼氏として黙っている訳にはいかない。

特段喧嘩をふっかけるつもりもないが、
牽制の意味でまた病室に入っていった彼女の
後ろをついていけば、
ベッドの上で俺を待ち構えていた様子の2人が俺に視線を向ける。

『彼が、私の婚約者……です』

「……はじめまして」

「……えっ、」

「ねぇ、Aちゃん。
私たちは彼氏連れて来いって言ったのよ。
芸能人連れて来いだなんて言ってないわ」

『え、うん。だから、彼氏』