陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ4)

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４…side:Keigo.A ページ4

って、ちょっと終わり感出したのに。

まぁわかってた。

分かってたんだが、夕方になっても一向に帰ろうとしない彼女は
何時になったら俺のこの気持ちを察してくれるのだろうか。

いい加減そろそろ2人になりたい。

もう人混みに揉まれるのはごめんだ。

　彼女の為にとことん付き合ってやりたい気持ちはもちろんある。

もちろんあるのだが、
俺とてせっかく久々の休みなのだから彼女とゆっくりしたい。
ゴールはもちろんベッドの中で。

いつもはどうしても巻き気味になってしまう
それをゆっくり堪能したいのだ。

こんなこと言ったら絶対怒られるのが
目に見えてるから言いはしないが。

　それでもなんとかこの状況を打破したい俺は
ふと視線を逸らした先に見えた建物に歩みを止めた。

急に立ち止まった俺の手を引いていたAも
くっと後ずさるように立ち止まって
何事かと不思議そうに振り返った。

『なに、どうしたの急に』

「あそこ、行こうぜ」

『あそこ？何どこのこと言って……』

　俺の顔を見た彼女は
俺が視線を向ける先を辿って言葉尻を消した。

かと思えばひゅっと息を吸って顔を引き攣らせた彼女は
視線を逸らして歩き出そうと俺の腕を力づくで引いてくる。

　テコでも動かなさそうなくらい微動だにしない俺に
痺れを切らした彼女が振り返って声を荒らげた。

『何考えてんのアンタ！行かないよあんなところ！！』

「いいじゃねーの。1つくらい俺にも付き合えよ」

『絶対嫌！！
何が楽しくてお化け屋敷なんて入んなきゃなんないの！！』

　そう。

俺が見ていたのはお化け屋敷。

しかもその辺の安上がりなものでは無い。

特集なんかもされる程わりかし有名な、
廃病院をそのまま使っているお化け屋敷。

　もちろん彼女がその類のものが嫌いなのは知っている。

ただのホラー映画ですらビビり倒してほぼ見ないまま
俺の腕に抱きついて終わる彼女が
あんなところに入るなんて自分から地獄の門を潜るのと同義。

　ただもうこれしか無いと思った。

彼女の帰宅欲を促すには
彼女のテンションを落とさせないことには
どうにもこうにも無理がある。

　そんな最低な俺の思惑を知らない彼女は
何を考えているのだと相も変わらず石と化した
俺の腕を一生懸命引いていて。

おーおー、頑張っちゃってまぁと
思ってもない応援を心の中でしたところで
彼女と視線を合わせた。