８…side:You ページ24
『え？』
「確かに偉そうなのは偉そうやけど、
跡部が自分勝手なんて思ったことあらへんよ俺は」
「俺もだ。むしろ、あそこまで人のことを
考えられる男だと思わなくて舌を巻いた」
『……え、何言ってんの2人とも……
だって、さっきは跡部らしいって、』
「そうすよ。だからさっきから言ってるじゃないですか。
それこそ跡部さんって感じっすねって。
俺らからしたらあの人は甘やかす側の人なのに、
A先輩の前では甘えてんすねって。
なのに勝手に否定ばっかしてたのはA先輩でしょ」
『へ？』
「私も最初に言ったはずだけど。
それが景吾君の本質なんだねって。
私が知らなかったってことは、横暴自己中は
アンタにしか見せてない1面ってことでしょうよ」
『……ん？ 待って待って。え？ じゃあなに？
甘えて素が出た結果、ワガママになってるだけってこと？？』
「そういうこと。って、ずっとそう言ってんのに
暴走してるからもうダメだこれはと思って」
『……』
「……で？ 解決はしたのか」
『…帰るわ』
「……1名様お帰りでーす！！」
「え？ なに？ なんで急に叫んだんすか忍足さん」
「や、迎え必要かな思て」
「迎え？？ 叫んだらタクシーでも来るんすか？
なにその超人技」
「……大概バカなのね赤也くんも」
「まぁ、切原はずっと店に居たしな。分からなくて当然だ」
「へ？？」
何の話だと首を傾げる赤也くんを後目に
鼻で笑った他の3人は呆れたようにお酒を煽っていて。
まぁそんなことはもう今どうでもいい。
それよりなにより今は跡部だ。
なんで気づかなかったんだろうか私は。
というか、分かってたはずなのに
何を勝手に私は苛立ってたんだ。
そうじゃん。王様じゃんあいつ。それが素なんじゃん。
彼は私に当たり散らしていた訳じゃなく、
ただ単に私の前で素を出してくれていただけ。
確かにイライラする事には変わりないけど、
そう考えたら全然許せる。
あーもう、最悪だ。
なんて酷いことをしてしまったんだ。
どうしよう、なんて言おう。
これで更に心閉ざしちゃったらどうしよう。
唯一の憩いの場まで奪ってしまって何がしたいんだ私は。
くそか本当に。
そんなことを考えつつ、
答えを教えてくれた彼らに深々とお辞儀をすれば
最後の最後まで鼻笑いでお見送ってくれた。
本当に申し訳ない。
こんな私と友達でいてくれている事に感謝しかない。
持つべきものは友。お前らには一生頭が上がらんよ。
そんな彼らを背に店の扉を開け外に出て1つため息を漏らせば。
「おかえり」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年11月1日 18時
