陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ22)

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６…side:You ページ22

『へ？』

「だから、要は甘えてるってこと。
甘えられる相手だからこそ、素が出てんじゃないの？」

「……跡部さんが甘えるって、言葉にするとなんか嫌っすね」

「奇遇だな切原。俺も少し吐き気を催したところだ」

「散々な言われよう……だけど、そういう事だよA」

『……そういうことってなにが？吐き気を催すのが？』

「ちっがうよ。馬鹿かアンタは。
彼らからしたら甘えてる景吾君は想像がつかないんだって。
ってことは傍から見たら
彼はそんだけ気ぃ張ってるってことでしょ」

『うん。そんなのは分かってるけど』

「いや、分かってないでしょうよ。
アンタの前ですら気張らなきゃいけないなら、
どこで彼は気緩ませろっていうのよ」

『でもそれだと矛盾しない？
だってその甘えられるはずの家でも
王様気質見せられてんだよ？

それが嫌だって話なのに、
それが素なら気ぃ張ってるもくそもないじゃんか』

「……ダメだこの馬鹿は」

『えぇ？なんで？やっぱり私が悪いの？？』

「跡部は、確かに偉そうだが、
それとはまた別じゃないのかって話だ」

『いやいや、どう見ても王様ですけど。
最近家にいるの跡部じゃなくて王様なんですけど』

「だから、それが本当の
跡部さんなんじゃないっすかって言ってんすよ」

『はぁ？それ、どういう……』

　意味が分からんよと言いかけたその時、
またカラン、と入口の扉が開いた。

誰よ今度はと入口に視線を向ければ、
見えた姿はどこぞの関西人。

言わずもがな、忍足大先生である。

　おーおー。

誰だよあんなヤブ医者呼びやがった野郎は。

気まずそうに視線を逸らしたあたり、次の戦犯はお前か手塚。

これ以上私の心を荒ませてどうしよってんだ本当に。

　自惚れたい訳では無いが
仮にも私を想ってくれている人間が集結してしまった事で
殺伐とした空気感になりつつある。

だというのに普通の顔をして
私の後ろのソファ席に腰をかけた忍足は
ウィスキーのソーダ割り！と元気よく
赤也くんへ注文をしていた。