陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ20)

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４…side:You ページ20

『は？なに華。アンタは跡部の味方するっての？』

「いや、そういう訳じゃないけど。
ただ、6年も離れてた上に、
5年も寝たきりのアンタを想ってた景吾君が
突然そんな嫌われるような真似する意味が分かんなくない？
むしろなんかアンタがしたんじゃないの？」

『え、私？私のせいで性悪な王様に逆戻ってんのあいつ？』

「いや、知らないけど。
ていうかそもそもの時点で元の景吾君を知らないから
なんとも言えないけど」

「まぁそうっすね……
俺的には逆にA先輩といる跡部さんは
どうしちゃったのこの人って感じだったんでなんとも言えないっすけど」

『そのどうしちゃったのこの人が大好きだったの私は！』

　ムスッとした表情を隠しもせず声を張れば、
惚気なんか聞きたくねぇんだけどと
赤也くんがボソッと愚痴を零した。

別に惚気けたつもりは少しもなかったってのに。

　なんならちょっと嫌いになりかけているのだから
私を落とすなら今がチャンスだぞ切原と
思ってもない自惚れを心の中でしたところで
カラン、とバーの入口の扉が開いた音がした。

なんとはなしに視線を向ければ、
そこに居たのはまさかの手塚君で。

戦犯であろう華をギロリと睨むと、
若干苦笑しながら視線を逸らした彼女は
グラスに残っていたラムコークを煽っていた。

　誰が手塚呼べっつったよ。

手塚君にこの話したところで鼻で笑われるのがオチだろうが。

　そんな私の気持ちの落ちようも露知らない手塚君は
私の隣に腰を降ろしたと思えば
何食わぬ顔で「どうしたんだ」と問うてきた。

またこの惨状を説明するのかと思いつつ、
彼の本質を知っているであろう手塚君には
先程よりも簡潔に伝えてやれば
やはり期待を裏切らない彼には2人と同様鼻で笑われた。