陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ2)

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２…side:Keigo.A ページ2

「……なんでそんな離れて座ってんだお前」

『……いや？
まさか跡部にそんな欲求があるとは思ってなかったから。
結構ドン引いた』

「は？そんな欲求って、俺が何したってんだ」

『いやいや。
今めちゃくちゃあそこにいる女子高校生見てたじゃん。
確実にやらしいこと考えてる顔してたよアンタ』

「そんな顔してねぇよ別に」

『……浮気か』

「んなわけねぇだろ！
やめろ俺を犯罪者に仕立てようとすんの」

『どーせ私は30近いばばあですよーだ！
あの子達に若さも可愛さも負けてますよ』

「……俺はあんなクソガキに興味ねぇっての」

　どーだか。

その一言で済ませながらも完全に機嫌を損ねてしまった彼女は
口を尖らせて「アイス買ってくる！」と俺の制止の声も虚しく
また忙しなくどこかへ走っていった。

違ぇってのに。

てか、さすがにこんなところで言えるわけねぇだろ。
高校生のお前思い出して頭ん中で行為始めてただなんて。

　いやでも今のは紛れもなく悪いのは俺で。

帰ってきたら流石に謝るかと思いつつも俺の意志とは反して
向いてしまった先にいた女子高校生と目が合ってしまった。

咎めるような視線を送ってきたかと思えば、
俺と目が合った瞬間ハッとした顔をした彼女達は
何やらヒソヒソと俺を見ながら話している。

めちゃくちゃかっこよくないあの人？

こっち見てたよね？私達に気でもあんのかな？

え、話しかけてみる？どうする？

　……この際言おう。

全部丸聞こえだ。

本人達は小声で囁いているつもりなのだろうが、
ヒソヒソ話というのは意外と
本人の耳にも届いているものなのだと
教えられるものなら教えてやりたい。

加えてこの近距離であれば尚のこと。

未だこちらを見つめている彼女達には
俺のこの、漏れる苦笑が見えていないのだろうか。

　頼むA、早く帰ってきてくれ。

最早少し列を外れてこちらに来ようとしている女子高校生を
視界の端に捉えながら彼女の帰還を切に願っていれば
彼女達のうちの1人がお待たせ～と合流する声が聞こえた。