陽光の奏鳴曲 -第7番- (ページ1)

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第二十四章【トリセツ】side:Keigo.A ページ1

『っ～！見て！見て！
やばい！あれ絶対面白い！！』

「……そうだな」

　次の日、有給を使い休みをとって
約束通り彼女を遊園地に連れてきてやった。

着くや否や声にならない声を出したAに
あっちもこっちも連れ回される俺は
もう正直体力の限界が来ている。

　いや、体力というよりこれは精神的な疲れだ。

この歳になって遊園地のアトラクションを
ハシゴさせられることほど辛いものは無い。

そんな俺の顔を見て気を遣ったであろう彼女は
俺をベンチに座らせると飲み物買ってくると返事を聞きもせず
パタパタと小走りで自販機へ走っていった。

　それを、ボーッと見つめる俺は
ただ疲れたというだけではない。

ここ数日積み重なった寝不足が更に俺を攻め立てているのだ。

少しでもそれを振り払おうと
徐々に落ちてくる瞼を擦るために目元に手をやれば
ここに来て初めて眼鏡をかけたままだったことに気づく。

　そんなに激しいアトラクションに
乗っていなかったこともあって完全に忘れていた。

こんな状態の中、何故か送迎ではなく、
2人きりで行きたいと言いだした彼女のわがままに付き合わされ
無駄に運転をさせられる羽目になったわけで。

そのためにかけた眼鏡を外して
念願の瞼に触れれば幾分か眠気が覚めた。

　昨日に関しては今日のために仕事を夕方で切り上げたのだが。

あれだけ一昨日抱き倒したというのに
三十字路手前にして思春期男子のような欲を持つ俺は
早々に寝ようとした彼女に手を伸ばした。

しかし、その手を軽く叩いてジト目を向けられたことで
彼女どころか人生史上初めての
恥でもなんでもない本気の拒絶反応を食らい、
これが世にいう拒否られた男の気持ちなのだと知った。

仕方なく床についたはいいが、
こんな気持ちのまままともに寝られるわけもなく。

　そのまま朝を迎えた俺は
頭の中に残る若干の下心だけで目の前でアトラクションに並ぶ
女子高校生のスカートから伸びる生脚を眺めた。

別に彼女らに下心がある訳では無い。

ましてやそんな犯罪よろしい感情はこれっぽっちもない。

　あのスカートを履いたAを想像して、
頭の中で行為を始めた頃。

いつの間にか戻ってきていた彼女が
不審者を見るような目で見ていることに気がついて
高校生から視線を逸らした。

差し出された水を受け取って流し込んでいれば、
相も変わらずその目を向けながら
少し距離を置いて座った彼女に耐えきれなくなって声をかけた。