月光の前奏曲 -第19番- (ページ37)

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④side:You ページ37

なんで私がやらなきゃいけないのよ
こんなこと！！と叩きつけたポンポンは
誰かの手にスっと拾われて。

差し出されたポンポンにゆっくりと顔をあげれば、
これまた見慣れた姿。

赤組の応援団長、忍足侑士である。

「落としたで、ほら」

『落としたんじゃない、捨てたの！』

「なら、尚更あかんで。
チアガールさんの武器やんかこれ」

『何が武器だ！私はチアガールじゃねぇ！』

「まぁまぁ、そう怒らんといて。
よう似合っとるで。可愛い可愛い」

『うるさい！！
そんな安いお世辞誰が騙されるか！！
てか、アンタもこういうの好きじゃないくせに
なんで団長なんかやってんの』

「いや、押し付けられたんやて。
俺やっていうなれば被害者よ」

仲間同士仲良くやろや、と差し伸べられた
握手をパーーン！と勢いよく叩いてやれば
怖ぁ…とわざとらしく体を逸らした忍足に
イラッときてオマケで蹴りも入れといてやった。

こいつだな、仲間を増やしたくて
私を応援団にいれやがったやつは！！
男子が私を推薦なんておかしいと思った！！

「パンツ見えんで」

『見るな変態！！
まさかチアガールはお前の趣味か忍足！！』

「趣味って……やめてぇや人聞きの悪い……
前々から暗黙の了解で黒はメイド、白はセーラー、赤はチアやで。
夢やん、ロマンやん。男の」

『趣味と何が違うって言うのよそれ』

　むしろ趣味よりタチ悪くない？

本当に男って最低。

跡部も跡部だけど、
忍足も負けず劣らずまじで気持ち悪い！！

なんでこの2人、女子にこんな人気あんの？
まじわからん。

　到底私には理解できない良さを持つ
もう1人の彼に視線を戻せば、
いつの間にか白組の輪の中にはいなくなっていて。

消えた姿に、あれ？と思って
キョロキョロしていれば、「あっ」と
傍観者と化していた宍戸の漏れる声が聞こえた。

それと同時に聞こえる女子達の歓喜の悲鳴。

　嫌な予感がして、わざと振り向かずに
ソロソロとその場を離れようとすれば、
ガシッとシャツの首元を掴まれた。