��side:You ページ36
『……』
「ごめん、本当にごめん」
手を合わせて謝る彼女をジトリと睨む私の手に
彼女と持つ同じ赤いポンポン。
彼女のお願いとはこれだった。
応援団の女の子が1人ケガしてしまったらしく
出られないから代わりに出て欲しい。と。
いやでも何で私？ と言えば、
応援団の男子達の推薦だと躊躇いもなく言われた。
私の意見は丸無視かよ！
まぁ、めちゃくちゃ焦ってるみたいだし
特にこの後競技もないしなと半ば
納得しないまま引き受けてやればそれが仇となった。
「え、私その服着るの？」と聞けばコクリと頷かれ
渡される新品のコスプレよろしくな
ノースリーブシャツと赤いスカート。
さすがにそのスカートだけはやだ、
といったのだが逆に私だけ履かない
っていうにも目立つと思い履いた結果
パンツの見えそうな短さにもう人前に出られる気がしない。
最悪だ、何これ。もうやだ。
よくこんなん履いて応援する気になったな
と応援団の女の子達を見て思ったが
彼女達の思惑は1つである。
男子達……否、あっちで
ヤンキーさながらの長ランを着た王様の
視線を少しでも貰おうと必死なのだ。
私は絶対に見つかりたくないけどね！ 逆に！
頭に白いハチマキを巻いた彼は、白組の応援団長。
まぁ目立ちたがりの彼は
絶対やると思っていたけどまさか相反する私が
こんな所にいるなんて彼は思うまい。
てか、向こうの女子はなんでチアガールじゃないの。
なんでセーラー服なの。ずるくね？
跡部の趣味か？
そうだとしたらマジで気持ち悪いけど、
まだあっちのがマシだったわ。
頭の中で誹謗と中傷を繰り返しながら
人混みに紛れるように姿を隠していれば
後ろから叩かれた肩に体をびくつかせる。
恐る恐る振り返れば、
そこには先程罪もない私に中指をたてやがった
赤いハチマキを巻き、短ランを着た宍戸の姿。
「お前、なんで応援団やってんだ！？」
『いやそれはこっちが聞きたい。
どうなってんのよ一体』
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月27日 20時
