１４…side:Mob ページ28
「……そ、そんなの！ 私は知りませんもん！！
とにかく、私は絶対に認めません！！
A先輩の目私が絶対に覚まさせます！！」
吐き捨てるように言葉をぶつけて、
彼らに背を向けて走り出した。
私は認めない、絶対に嫌だ。
あんな男にA先輩が取られるだなんて、絶対に嫌だ！！
嫌だ、嫌だ、と考えながらぼーっと走っていれば、
ドン！ と何かに強くぶつかった。
すみません、と声を掛けようと顔を上げると
見慣れた後ろ姿は帰ると言った跡部先輩で。
なんでまだいるんだと思いつつその背を見つめていれば
ゆっくり振り返った跡部先輩はやはり鋭い視線を送ってきた。
「謝れよ」
「先に跡部先輩の方が謝ってください」
「馬鹿か。俺が謝んなきゃなんねぇ理由なんてひとつもねぇだろ」
「ありますよ！ いろいろありますけど
とりあえずA先輩と付き合ってること謝ってください」
「意味わかんねぇこと言ってねぇで行くぞもう」
「……え？」
くだらねえと鼻で笑いながら吐き捨てた跡部先輩は
また勝手に歩き出した。
行くぞ、ってなに？
嘘。もしかして、待っててくれたのこの人。
だって、さっきは帰るって言ったじゃん。
なのに、なんで？
それを聞くために先に歩いていった彼を追いかけてハッとした。
……私今、全然小走りじゃない。
普通に、歩けてる。
行きでさえ、若干早歩きで彼に着いてってたはずなのに、
なんなら少し余裕を持てるくらい
歩けている自分に首を傾げていれば、
肩でため息をついた跡部先輩は半歩後ろを歩く私を横目で一瞥した。
「もうぶつかってくんなよテメェ」
「……私だってぶつかりたくて
ぶつかってるわけじゃありませんよ」
「そんなん知ってるっての。
いい加減前見て歩けって言ってんだよ」
「は！ いい加減ってなんでそんな言われ方……」
……ん？ いい加減？
いい加減、ってまるで1回目ぶつかった時も前見てなかったこと
知ってるみたいな言い方じゃん。
だとしたら、もし本当に知ってたんだとしたら
わざと立ち止まって私にぶつからせてたってこと？？
何のために？
……まさか、危ないから、とかそういう、こと？
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月27日 20時
