９…side:Mob ページ23
すると、私達の関係を疑って
咎めるような視線を送ってきていたはずの
目の前の2人から吹き出す声が聞こえて、
何事かと彼らへ視線を戻した。
「なんで笑ってるんです……？？」
「や、あまりにも素直に引っかかりよるから
おもろくてついつい吹き出てもうた」
「……は？ 引っかかる？」
「ははっ、そんな全力で否定しなくたって
分かってるよ俺らだって」
「……え？ さっきから何言ってるんですか先輩達。
引っかかるって何の話です？？」
彼らの言う事が分からなくてあたふたと戸惑っていれば、
忍足先輩がまた吹き出した。イラッとくるなさっきからもう。
なんなの、なんなのよ一体。
A先輩の半生がかかった話だと言うのに、
何をそんなに笑うことがあるのかと彼らを睨んだ。
「はー、もう。可愛ええやっちゃな自分。
ほんまにAのこと好きなんやね、お前さんは」
「だったらなんです。
なんでさっきからそんなに笑ってるんですか」
「その前にとりあえず睨むのやめろよ、
俺ら仮にも先輩だぞお前」
「知りませんよそんなの！
なら、笑うのやめてくださいよ！」
「まーまー。落ち着きや。ごめんな、からかって。
ちゃうねん。俺らは別に分かっとんねん
自分らが浮気なんてしてへん事くらい」
「……は？ だって、跡部先輩なら
浮気しそうだなんだって言ってたのは
自分じゃないですか忍足先輩」
「だから、それが冗談って話。
こいつが浮気なんてするはずねぇだろ」
「……そんなの、分かんないじゃないですか。
この人はいつでも女の人に囲まれてんだから
しようと思えば出来るし」
そう。絶対しないなんて言い切れないのだ。
そりゃもちろんA先輩以上に美しい女性なんていないが、
それでもこの男は恋人という関係に甘んじて浮気する。
しそうな顔してる。っていうか、絶対する。
ほら、さっさと正直に吐いちゃえよ
全部A先輩に言ってやるから。
ウィンドウガラスに映った自分を見て
髪を弄り始めていた跡部先輩にガラス越しに睨みを利かせれば
振り返った彼から直接的に睨みを返された。
倍返しだってか。
怖いとか全て通り越して本当に腹だけ立つわもう。
あと、ナルシストも程々にしてほんと。うざい。
ちょっと顔がいいからって調子乗んな。
それを見ていたであろう忍足先輩は笑うなと言った手前なのに
ふふっと鼻で笑って苦笑を浮かべていた。
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月27日 20時
