２９…side:You ページ13
いや、私の寝る場所ないじゃん。
無駄にでかすぎなんだよあんた。
声をかけることもせず、
グイグイと彼の体を少し寄せるように押せば
ずりずりと少し退いてくれた。
今退くなら最初から寄っとけ。
その横に体を寝かせて、
まだ眠くもない癖に彼と同じように目を閉じてみる。
すると不思議なことに彼の体温で少し温まったシーツと
ふわっと香る彼の匂いにどことなく寝れそうな気がした。
あー。なんか。安心するなぁ。
最初こそ高校生のくせに香水なんぞ付けやがってと
無駄に苛立ちを感じたりもしていたが、
惚れた弱みというのか、なんというのか。
今となってはこの香りが精神安定剤みたいなところがあって。
そんなことを考えていれば、ふと思った。
何故最初はあんなに彼のことが嫌いだったのだろうかと。
そしてそれはいつしがらみが外れて、恋心へと変わったのか。
あの時の自分はまさかこんなことになると思ってなかった。
昔の自分が見たら、目を覚ませと平手打ちくらいはくらいそうだ。
なんでだろうな、ほんと。
なんで好きになったんだろう。
「なぁ」
『わ、ビックリした。起きてたの？』
「起きてなきゃ退かねぇだろ」
『それもそうか。で、なに？』
「最後の命令、しようかと思って」
『……え、終わったんじゃないの！？
寝ようって言ったじゃん！』
「言ってねぇよ。ベッド行こうぜって言っただけだ」
『……確かに、言われてみればそんな気もする』
「で。最後の命令だ。……いや、お願いか？ これは」
『……お願い？』
閉じていた目をゆっくり開けた彼は、優しく微笑んで。
「変なこと、してもいいか？」
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月27日 20時
