５…side:You ページ7
朝、学校につけば、
まだ始業前だというのに学校全体が
お祝いムードで、周りの女子達は
まだ見ぬ跡部の姿に胸を踊らせていた。
やっぱり昨日気づいておいて良かった。
こんな声の中で気づいた私を想像したら悲惨すぎて
もう多分窓から身投げをしていたかもしれない。ここ1階だけど。
それでも今日気づくよりは全然余裕でいられる自分がいて。
ありがとう忍足、たまには使えるじゃんと
心の中で彼に御礼を言っておいた。
直接言うと調子乗るからもちろん心の中だけである。
すると、きゃあああ、といつもの
10倍くらい大きい悲鳴が耳をつんざく。
いくら慣れていると言っても
さすがにこの声は顔を顰めざるを得ない。
悲鳴もとい歓迎の声の中、
歩きづらそうにしながらも自分の教室へ
向かっていく跡部の姿が開いた教室の扉から見えた。
おもむろにこちらを見た跡部は
私の姿を視界に捉えるとニッと一瞬
不敵な笑みを浮かべて。
それを見た跡部を取り囲む女子達が
更に歓喜の声をあげた。
おーおー。
やっぱりアイドルかなんかと勘違いしてんなあの方々は。
顰めた顔のまま口角をあげていれば
ぴょん！ と私の机の前に姿を現したのはジロちゃんで。
いつも寝坊ばっかしてる癖にやけに今日は気合い入ってんなと
思いつつ目の前でニコニコ笑うジロちゃんに話しかけた。
『おはようジロちゃん。早いね今日は』
「おっはよー！ そんなの当たり前だC〜！
だって、今日は跡部の誕生日だからね！！」
にひひ、と笑ったジロちゃんは本当に跡部大好き男。
鳳くんが宍戸に抱くものとこそ違うかもしれないが、
それに似た彼らの関係性に思わず笑みを零した。
謎にやたらと懐いているジロちゃんを確実に贔屓して
甘やかしているのは他でもない、あの男だ。
まぁこれだけ懐かれたら贔屓もしたくなるよなと
1人微笑んでいると突然何かに気づいたように走っていった
ジロちゃんを視線で追った。
彼が向かった教室の入口を見れば立っていたのは忍足で。
なにやら会話をする2人をじっと見つめていれば
私に視線をやった忍足から手招きされた。
『……おはよう忍足。どした？ なんか用？』
「おはようさん。や、なんか用ちゃうやろ。
昨日電話したやんか俺」
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月25日 2時
