１１…side:Keigo.A ページ49
「はぁ、まさかあの娘があんなにもお転婆に育っていたとは」
Aをあの場に残してきたあと、
連れられたのは父の私室で。
途中ですれ違ったミカエルに、
彼にしか聞こえないような小さな声で
Aを頼む、と伝えれば
彼は軽く会釈をして足早にその場を離れた。
そんなことも露知らず
大きなため息をついた父はオフィスチェアへぐっと体を預ける。
「それにしても、お前もよく言った。
流石は私の息子だな」
思い返すだけでも反吐が出るような言葉を
よくもまぁ噛まずに言えたもんだと
自分で自分を褒めてやりたいくらいだ。
わざわざ息子を強調する父に、
若干の嫌悪感を抱きながら口を開く。
「先程、A……あの女が言っていた言葉は本当ですか？」
「お前が、養子だという話か？」
「……はい」
「お前も、もう知っていい頃かもしれんな」
窓のブラインドをさげ、隙間を覗きながら父は言った。
「さっきあの小娘が言っていたことは、全て事実だ。
まだ幼かったお前をお付のミカエル共々私が引き取ったんだよ」
「それなら何のために、俺はここに、
それに、あいつの父親は何者なんです？」
父は、Aの父を龍玄と呼んだ。
名前で呼ぶくらい親交が深いということは
この家と同じくらい、否。うち以上に格式高いお家柄なはずだ。
ゴクリと喉が鳴る俺を一瞥した後
父は、前に向き直り手を組みながら静かに目を閉じた。
「……“白銀宮家”。
お前も聞いたことのある名のはずだ」
「シラガネノミヤ……って、まさか、」
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月25日 2時
