月光の前奏曲 -第15番- (ページ37)

今日:36 hit、昨日:15 hit、合計:17,673 hit

５…side:You ページ37

『――――んで、俺に関わんな、って言われてさ。
マジであの男殺していい？もういいよね？
私よく我慢したと思わない？
初めて怒りで震えたわ。
本当に人間って腹たちすぎると震えるんだね』

「……今の話の流れだと、貴女泣くのかとおもったのだけど」

『え？なんで泣くの？
腹立ったくらいで泣かないでしょ普通』

「そういうことじゃなくて……はぁ、ごめんなさい。
貴女に普通を求めた私が悪かったわ。
ところで、何故しれっと
私のティータイムに入ってきているのかしら」

　ただの休み時間だというのに、
日向ぼっこをしながら
優雅にティータイムをしていた水川さんを見つけて
強引に隣に座り昨日屋上であったことを全て話した。

お付の方が気を遣って入れてくれた暖かい紅茶を片手に。

　つーかなんであいつなんでも券なんて持ち歩いてんの。

人に馬鹿だ教養がないだって言っておきながら
あんなもん持ち歩いてるあいつはもっと馬鹿だ。

まぁ大方私が言うこと聞かない時の
最終手段としてでも使おうと思ってたんだろうけど
そもそもあれなんの効力もないし。跡部にあげたつもりないし。

　冷めやらぬ苛立ちをぶつけ続けながらズルズルと紅茶を啜れば、
行儀の悪い私を咎めるかのように冷たい視線を向けた水川さんは
はぁ、と1つ大きなため息をついた。

『え、だって水川さんは私の友達でしょ？
友達には悩み相談くらいするよ？』

「確かに貴女を認めるとは言ったけれど、
それとこれとは別。貴女とお友達になった覚えは無いわ」

『あ～またむしゃくしゃしてきた。
本当にアイツの強がり癖どうにかしてよ水川さん～』

「本当に人の話を聞かないわね貴女。
2人の問題に私を巻き込まないでくれるかしら」

『いやいや、ここは水川さんのお力をお借りしたいんですよ～。
私みたいな貧乏人にはなんも出来ないんですよ～』

「……都合のいい女ね本当に。
景吾は、関わるなと言ったんでしょう？
なら、私に出来ることもすることも無いわ」

『いや、絶対嘘だから。
どうせあの馬鹿のことだから、
また私達を巻き込みたくないとか思ってるんだよ。
実はあいつ私より馬鹿だから』

「教養がないと言われたこと、随分根に持ってるのね……
それで、その根拠はなんなのかしら」

『勘。』