月光の前奏曲 -第15番- (ページ34)

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⑧side:You ページ34

そんな話し合いの結果、
3人チームは変わらないが、
私と勝手に巻き込まれた滝でチームを組むことになった。

いつも赤点を連発する彼らが
70点とれれば、及第点だろうと妥協した結果だ。

　その流れで、今に至るというわけだが。

がっくんのこの様子を見ると、
どうやらその話し合い虚しくボロボロだったようだ。

だが、ここでやめては意味が無い。

キャストが揃いきったところでいよいよ点数の開示がされれば
3教科発表した時点で今のところ全て私たちの勝ち。

残るはジロちゃんが得意だという理系の3つ。

紙切れひとつに左右される私たちの運命に
心臓が部室中に響き渡りそうなくらい高鳴っている。

「……数学、行くで」

「おっしゃ、ジローお前の力を見せてやれ！！」

「ジローだけ頑張っても意味ねぇけどな！」

「神のみぞ知る、やね。
準備はええか？行くで？せーーーの！」

『……ええええええええ！？』

「ひゃっひゃっひゃっひゃっ！
きたーーー、きたーーーーーー！！」

「このときを待ってたぜ！！」

「余裕だったC～」

　高笑いする3人に対して、私は絶望の色を見せた。

まさかの3人が満点だったのである。

『お前ら……謀ったな！！』

「謀ったってか、文系は捨てたんだよ。
国語英語は苦手だし、地理歴史の社会は
覚えること多すぎて無理だからな」

『ずるくない！？一丁前に山張りやがって！』

「ちなみに、物理化学も俺らは満点だぜ」

『は？なにそれもう勝てないじゃん！バカやろー！』

　テストの山の張り方間違ってるよ！！

でも、当たり前っちゃ当たり前だ。

都内一の進学私立校とも呼ばれる氷帝学園に入学出来たくらいだ。

いくらエスカレーターでも
元々そのくらいの頭の良さは持ってて当然である。

せっかくの高得点をとったというのに、
何故項垂れなければいけないのか。

「オレらの、勝ちだな」

　ニヤニヤとする3人を横目で見て
私の口からはうぅ、と静かにうめき声が飛び出た。

おかしいな。

入ってきた時は私と同じように
項垂れていたがっくんが飛び跳ねている様子が目に入る。

なんでこんな敗北感を
味合うことにならなければいけないんだ。

いやまぁたしかに2人対3人でいいって言ったのは
私なんだけど。それは間違いないんだけど。

　それにしてもめちゃくちゃ不服だ。

何してもらおうかな～とキラキラと輝くあちら側とは
正反対に暗く淀み沈む私はそのままの気持ちで部活に臨んだ。