２…side:You ページ4
«冗談ならはよ言ってや»
『え？ なに、冗談ってどゆこと？』
«ほんまに明日何の日か知らんの？»
『……うん。何？』
«こればっかりは可哀想でならんわ、跡部が»
『え、なんで？ 何の話？
早く言ってよ気になるから』
«去年のこの日、何したか覚えとらんの？»
何故わざわざ回りくどく言うのだろうか。
直接的にこういう日だよ！ って教えてくれれば
それで済む話だというのに。
水川さんといい忍足といい、
揃いも揃って私に考えさせようとする
真意がまったく分からん。
それでもとりあえず自称天才の頭を
働かせながら去年の出来事を
記憶の引き出しから跡部関連の話を一生懸命引き出す。
去年の9月1日に入学して、
初めて会った跡部とめちゃくちゃ喧嘩して。
初めての氷帝の文化祭に舌を巻きながらも
跡部の仕事ぶりにちょっと感動して。
合唱コンクールでは、寝坊しちゃって
たまたま別件で連絡くれた跡部が
迎えに来てくれて一緒に初めて学校に登校して。
……あとなんだっけ。
あぁ、部員全員で彼の誕生日を祝ったんだ。
体育館貸し切って、初めてまともに話した
跡部と喧嘩しながらも誕生日プレゼント渡して……
あの誕プレ、結局大事な試合の時は
全部つけてくれていた気がする。
そんな高いものでもないし、
なんならわりと適当にこれでいっか、みたいな
気持ちであの時は選んだものだったのに。
って、違う違う。
そんなことを考えている場合ではない。
明日が何の日かだった。
……あれ。
跡部の誕生日って、いつだったっけ。
確かあれは、秋だった。
ちょうどそう。10、月……くらい……
嘘。
まさか。
３…side:You→←第五十七章【キミ記念日〜生まれてきてくれてアリガトウ。〜】side:You
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2020年10月25日 2時
