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6…side:Akaya.K ページ48

そこにいたのは、
俺が今劣等感を感じたばかりの跡部さんで。

ただ、彼女が固まったのは多分そこではない。

跡部さんの横を歩く、女の人を見たからだ。


 俺からしたら、A先輩ほどじゃないが
その人は、あの跡部さんと並んで歩いていても
なんの引け目も感じないほどの美人で。

大人びた青い浴衣を着た彼女と、
黒い浴衣を着た跡部さんはお似合いの他、言葉がなくて。

周りの他人からも
「あの2人美男美女でお似合いだね」だなんて聞こえる声の中
楽しそうに何か話しながら歩く2人を
A先輩は無表情に伏せがちの
どこか色のない瞳で見つめていて。

すると、徐々に近づいてきた跡部さんは
ふとやった視界にA先輩を入れると
目を見開いて同じように固まった。


 他の人なんて、まるで見えていないように
見つめ合う2人は何かの壁に阻まれているように見えて。

その壁をぶっ壊すようにこちらへ向かってきた跡部さんは
A先輩を見下ろしながら口を開いた。



「お前、何してんだよ」

『……何って、見てわかるでしょ。
お祭りきてんの』



 ふいっと視線を逸らしたA先輩から
目を離した跡部さんは漸く俺の存在に気づけば
俺を見るや否や眉間にシワを寄せた。



「ハッ、なんだお前。デートか」

『跡部に関係ないじゃん。
アンタだって、水川さんでしょあれ』

「今は俺様が聞いてんだろうが。
切原と付き合ってんのかお前」

『だとしたら何? 何か文句でもあるの?
もう引退もしたし、関係ないでしょ』



 さっきの可愛い睨み方はどこへやら。

明らかに嫌悪の瞳を向けたA先輩が
俺との交際を否定しなかったことに対して
不謹慎にも喜びを感じていれば。

跡部さんはどこか納得がいっていないような
顔をしながらもA先輩の眼力に負けて視線を逸らした。



「……そうだな」

『私だって、水川さんと跡部が……
付き合ってる、だなんて、知らなかった』

「はぁ? 別に俺は、」

「……けーご?」

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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/  
作成日時:2021年1月28日 13時

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