12…side:Yushi.O ページ24
ついに、ポロ、と頬を伝った雫を
指ですくってやれば、それを皮切りに絶え間なく落ちてくる涙。
「こない顔してまで反省しとるAのことを、
突き放すほど跡部は心無いやつやないで」
俺の言葉を聞いて、少し赤くなってしまった
目をAは見開いた。
『ほん、と?』
「ほんまほんま。
去るもの追わずみたいな顔してるけどな、
あいつほんまは寂しがりの構ってちゃんやねん。
Aのことなら尚更、見放すわけない。
6年も一緒にいて、誰よりも跡部んことを分かっとる1人の
俺が言うんやから、間違いない」
わかったら、はよ行きや。
そう、背中を押してやれば、
ゴシゴシと涙を少し乱暴に拭いたAは
すくっと立ち上がった。
「跡部なら、ついさっきまで堤防のとこに
1人でぼーっと突っ立っとったで」
『ありがとう、忍足!』
さっきまでの暗い表情はどこへやら。
屈託のない笑みを見せた
Aは颯爽と砂浜をかけていった。
「……ほんとお人好しですね、忍足さん」
「……うっさいわ、滝」
気づけばいつの間にか後ろに立って、
わざとらしく敬語を使ってきた滝と
顔を見合わせて笑った。
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作者名:2ytluvuusham081 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時:2021年1月28日 13時