第四十七章【君がくれた夏】side:You ページ13
「海だァァァァァアアア！」
大きな声ではしゃぎながらバチャバチャと
海へ入っていくがっくんと宍戸はザ、夏男。
ないし、まるで大きな子供。
「元気ですね……本当」
「海ひとつでここまで騒げるとは……羨ましいやっちゃ」
「はぁ、暑くてそんな元気でな……っぶ！！！」
鳳くんと忍足と共に保護者のように見守っていた日吉くんは、
我先にと海へ入っていった宍戸と向日に
海水を思いきりかけられ、顔を背けると同時に後ろへよろけた。
「……ちょっと！！ いきなりなにするんですか！」
「お前が暑いっていうから……なぁ、岳人」
「そうそう！ 暑いなら水被っとけ！」
「……俺、日陰にいます」
「逃げんのかぁ日吉ぃ！」
「激ダサだな！！」
「……下剋上、ですよ！」
日陰の方へ向かおうとしていた日吉が
宍戸たちの挑発に乗ってパッシャーンと海へ飛び込んで行った。
「お前もだ、長太郎！！」
「えっ、俺……うぉ！！」
「侑士も行くぞ！」
「ちょ、嘘やろ！
俺怪我治ったばっかやのに……！！」
宍戸に羽交い締めにされた鳳くんと向日に引っ張られた忍足が
体勢を崩しそのまま海へと引きずり込まれていく。
そんな様子をパラソルの下で1人、
体育座りをしながら見つめる私は完全に置いてけぼり状態。
「Aは行かないの？」
すると、私の前に女子さながら
ラッシュガードを羽織り日傘をさした滝が
ひょっこりと顔を出した。
『行かないよ。日焼けしたくないし。
泳ぐの好きじゃないし』
わざとらしく口を尖らせれば
分かる〜と笑った滝が私の横に座った。
「よくあんな炎天下の下ではしゃげるよね」
バシャバシャと水を掛け合いながら
全身びしょ濡れの彼らを見て滝はため息をついた。
『……でも、ちょっと羨ましいかも』
「え？」
『私も男に産まれてたら、
あそこに混ざってたんだろうなって』
「……それ、男の俺に対しての暴言？」
『えっ、あっ、確かに……ごめん。そんなつもりじゃなくて』
「嘘嘘。分かってるよ」
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作者名：2ytluvuusham081 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/2ytluvuush1/
作成日時：2021年1月28日 13時
