月光の前奏曲 -第12番- (ページ2)

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２…side:You ページ2

……え？嘘。本当に起きた？

額を抑えたままなんの反応も無くなった彼に声を掛けてみる。

『……跡部？起きた？』

「……チッ」

『あ、起きたの。チェンジコートだよ』

「……チェンジコートだよじゃねぇんだよ。
何しやがんだこの馬鹿女！！」

『え、あ、ごめん。あまりにも起きないからイラッときてつい』

「ふざけんじゃねぇよ！！もっと他にあったろうが！！
ちったぁ頭使えっての！！」

『いや、試合中寝てたアンタにだけは言われたくないよ。
それに頭使ったじゃんちゃんと。私も痛かったよだいぶ』

「寝てねぇよ馬鹿か！！
頭使えってそういう意味じゃねぇよ！！
誰が上手いこと言えっつったよ！！」

『あー、ごめんごめん。分かったから早くあっち行きなよもう』

「……テメェ、後で覚えてろよ本当に」

　いってよし！と榊先生の真似をして
向こうコートを指さしてやれば、
しっかりと私を見据え睨みを利かせた跡部は
立ち上がって歩き出した。

　すげー私。

ちょっとこれで起きたりしないかななんて思ってたけど
まさか本当に起きちゃうなんて。

やっぱ、なんか特別な力でも持ってるのかも。

相変わらずけけけと怪しい笑い声をあげながら
ベンチに戻れば、ポカンと口を開けた氷帝レギュラー陣に
迎え入れられた。

『……なに、その顔』

「いや、こんな顔になるだろ」

「今ので目ぇ覚める意味わかんねぇよ」

「え？そんな物理的な感じで復活するもんなんですかあれって」

『や、知らんけどなんか起きたわ』

「いやいや。なんでそんなケロッとしてん自分。
向こうさんもだいぶビビッとんでもう」